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VOL56 ─サードバッグを考える─

□□昨日のつづき□□

2006年 5月 31日号  VOL.056

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│◇◆◇ 昨日のつづき   ~サードバッグを考える~ ◇◆◇  
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 先日、サードバッグA型の革断ち・型取りをしていた時、通し番号がNo.0499だったので<底部パーツの裏面(見えない所)に、製作日・LotNo・私のサインが入れてある>思いついて、製作ノートを開いて見たら、B型が132個・C型が現在393個の製作数だった。  A・B・Cの3型合わせると通算製作数が1000個を超えている事を知って、しばらくの間、不思議な感慨に浸ってしまった。

 試みに電卓を叩いて見た。  A型の製作に要する時間が約35時間、B型(現在作っていない)とC型は共に約30時間かかるので、平均32時間とすると、掛ける1000個で、32,000時間となる。 一日8H働くとすると、何と4000日・・・・・休みなく働いても、実に11年間サードバッグを作り続けた事になる。他の財布類や鞄・靴のデザインを考え、サンプルを作り、若いクラフトマン達を指導しながらだから、実際は、私のこれまでの作家人生・職人生活のほとんど大半はこのサードバッグシリーズと共にあったと言えるのかも知れない。  それにしても累計してみると、何と言う時の集積である事か、何と言う時の重みである事か。

 わたしは、現在までに、のべ100人以上のクラフトマンを養成して来たが、未だにこのサードバッグの作り方を誰にも伝えていない。
マシンと名のつく物は勿論、現代の便利な工具も一切使わず、最初から最後まで江戸時代のような純然たる手づくりなので、伝えるべき後継者を思いつかないのだ。もしかしたら、私の代でこの作品は終わってしまうのかも知れない。  だとしたら私が生きている間、あと何個作る事が出来るのだろうか?  何か寂しい話になったが気持ちを

入れ替えて、まずは、次の目標NO.2000!  目指せ、名球会!!

                      ━━ 明日につづく (F) ━━