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VOL38 ─ジーパンを考える─

□□昨日のつづき□□

2003年12月5日号  VOL.038

──ジーパンを考える──

ジーパンには特別な思い入れがある。  自分で自分の心の内を探ってみるとその想いは手離したくない青春のようなものだと思う。
小学校低学年の頃から映画好きで、土曜日曜は上映館のハシゴをしていた。
イタリア映画やフランス映画の映像美や音楽に魅かれるのは、高学年になってからだがその頃は西部劇や戦争ものを中心としたアメリカ映画に夢中になっていた。

ジーンズを意識したのは、その頃だったと思う。
腰の位置が高くて肉感的な尻を「Lee」のパンツに包んでいたジョン・ウェイン「Levi's」をワイルドで格好良く履きこなしていたピーター・フォンダやジョージチャキリスに憧れていた。  その憧憬が中学生の頃、ジーンズに対しての傾倒に変化したのだ。  当時、多くは無いGパン屋(その頃はこう呼んでいた)に通って様々なGパンを買い履き比べた。 「BigStone」「BigJohn」「Edwin」「Baxon」「Bobson」「BlueWay」そして「Levi's」「Lee」「Wranglar」等々である。
やがて、ジーンズはファッションとして、この国に大きなブームを起こして行く。多種多様なブランドが登場する。「Half」「Do family」「Sasoon」「Betty」「Something els」「Eagle」「さぶろく」etc.etc.

しかし、この国のジーンズは、流行として普及した為に、ジーンズの持つ本来的な堅牢美や機能美と言った特性よりも、シルエットとしてしか評価されなかったと思う。
各メーカーも、「ストレート」「スリム」「ブーツカット」「ベルボトム」「ペインター」等々、次々と『今年』の流行を作り続けて行く。  シルエットが行き詰ると「ウォッシュアウト」「ブリーチアウト」「ストーンウォッシュ」「サンドウォッシュ」「バイオウォッシュ」etcと生地自体を傷め続け「ブロークアウト」迄産み出し『流行』させるものが無くなると「501」「505」等、品番自体をさもこれを履いていないと本物じゃあ無いとばかり喧伝する。挙句の果てにヴィンテージモデル迄引っ張り出して、何と10万20万で取引する始末だ。
毎度毎度のことだが、日本人と言う民族は、どうしてこれ程まで、踊らされ易く扱い易く、刷り込み易い種族なのだろう。

ジーンズの「うんちく」をくどくどと語るつもりは無いが、少なくともジーンズと呼べるものは、厚手の綾織コットン素材で、14oz以上の重量が最低限と思う。
カッパーリベット(銅鋲)や、フォブポケットの形状等はどうでも良いが、Wステッチが望ましい。  そしてノンウォッシュである事だ。何故なら、シルエットを洗い込んで洗い込んで自分で作って行く楽しみが無い。
因みに、今、街で売られている10オンス・12オンスの平織りパンツは、デニムジーンズでは無くて、シャンブレーパンツ・ダンガリーパンツと呼ぶべきものじゃないのか?
ヒザが抜けてきて形悪いったらありゃしない。

──次号につづく── (F)