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VOL 7 ─タンニン鞣しの発明─

□□昨日のつづき□□

2002年11月 25日号  VOL.007

ゲームソフト<ドラゴンクエスト>を経験した人はピンと来るだろう。
主人公が闘いに赴く時、最初に手に入れるべきアイテムは「皮のよろい」と「皮のたて」である。  ギリシャ・ローマ時代の軍装を想い浮べても人間の身体を護るための道具として皮製品はふんだんに使われていた。

前号で書いたように、<皮>を腐敗させないように鞣し<革>に加工する訳だが、言葉を換えれば、鞣すとは腐敗菌が入らぬようにする事だから、菌の侵蝕する皮の蛋白質部分を除去してしまうか、蛋白細胞を菌の侵入しない異物資で満たしてしまえば良い、と言う事になる。

先人達は、様々な工夫をした事だろう。水で揉み・洗い・晒したり、乾燥した風の中に吊し続けたりして、へちま状のものも作ったようだ。
いつの頃からか、植物の渋(柿シブや茶シブなど)に漬け込み、乾燥させる方法を会得する。
この方法がシブ鞣し=タンニン鞣しである。

原始人の時代から憧れつづけた腐らなくて加工に適した<革>の完成である。

しかし、それでも革には三つの欠点がある。
①タンニンが水溶性の為、水を含み易い事。
②温度変化に弱く変質し易い事。
③カビ菌糸に侵され易い事。である。

生命のある私達の皮フでさえ、プールや風呂に長く入っていると指先などが、ふやけてくるし、夏の紫外線は皮フ組織を壊すし、逆に冬の寒さには皮フが収縮に堪えられずにアカギレのように割れてしまう。 又、水虫、タムシ等で苦しんでいる人も身近に多い。

繰り返し書いてきたように、<革>は元来、男性が闘いの中で防具として必要とされたものである。闘いはアウトドアで行うに決っている。 雨の日に使いづらいBagや、履くことをためらう靴などは道具として半端モノと言える。まして戦場では過酷な気象条件に堪える事が求められる。

何うすれば上記の3つの欠点を補う革が作れるのか? 長い研究と工夫の日々が続いた。

17世紀に入って、<油で鞣す>工夫が開発された。

(F)
──以下次号につづく─