□□昨日のつづき□□
2003年2月25日号 VOL.014
──踊らされる人達──
新潟・魚沼産コシヒカリ使用とラベルに大書した日本酒を見つけた。この酒の製造メーカーは、大多数の消費者は<無知で馬鹿>と思っているのだろう。当コラムの読者なら、広告コピーが何なのか、もう気づいている筈だ。
「コシヒカリ」は飯米であって酒米では無い。
ジャポニカ種短粒米は日本人が好む"ご飯"に向いているのであって、カレーやピラフには粘り気の少ない長粒種が美味である事は常識だ。
同じ事で、魚沼産コシヒカリ使用の酒や煎餅が決して他より優れた味にならない事は製造者自身が一番知っている事であろう。それならば何故、商品やパンフレットにこのようなコピーを着けるのだろう?
勿論、売れるからである。してみると矢張り、大多数の消費者は<・・・・>なのだろう。
私の知っている秋田の蔵元では、飯米としては人気が無く、必然的に買い叩れる安価な飯米を使って、酒造好適米ヤマダニシキに負けない味を出そうと、日夜研究している杜氏がいる。 純米吟醸など絶品と言える処まで来ていると思う。しかし、上記とは逆で「飯米」である事が半可通に嫌われて売れないのだそうだ。
酒で思い出したが、東京農大・醸造工学室で人工的に作り出した合成香料があるそうだ。 この「吟醸香」を添加して、4合ビンの大吟醸を\5,000~\7,000で売り、大儲けしている所がある。何と言う銘柄かは書かないが、私の周りのニーチャンやネーチャンが有難がって飲んでいる。
そう言えば、夏には枯渇する貴重な湧水を売り物にして、値段だけは高いが何故かコンビニでも売り出した銘柄や、意識的に問屋を通さず高値維持をしている戦略的高級銘柄なんてのも有ったよね。
もう良いかげん、ブランドの盲目的信奉は止めようよ。
ブランドとは、それが信頼を得るまでの過程で本質的な裏付けが有ったのだろうから、マスコミの大量露出によって作り出されたキャラクターブランドとは一線を画すべきだとは思う。 しかし繰り返すがブランドの本質以外の物まで信ずることは無い。ヴィトンは塩化ビニール製のバッグが本質では無いし、エルメスやシャネルはスカーフ
や香水で信頼を勝ち取ったのでは無い。
人気番付や行列の出来る店なんて情報は放っておいて、自分の五感を信じようよ。見て、嗅いで、触って、味わって、自分が納得すれば良いじゃない。
勿論【FH】の鞄も靴も洋服も、良いものは見れば理解ってしまう筈です。だって【FH】は信頼を得るまでの過程にあるのですから。
(F)
──以下次号─