□□昨日のつづき□□
2003年6月25日号 VOL.026
──良い革製品を考える(4)──
前号までで、(傷痕やシワ等が目に見える革が良い質の革である)との理由が、理解できた筈だ。 そこで、今号は染色について考えて見よう。
革の染色法は、二種類ある。
一つは、ペンキを塗るように、染料を霧状にして皮の表面に吹きつけて行く方法と、一つは、染料の入ったプール(桶)に革を漬け入れて染める方法だ。前者を、吹き染めと言い、後者を水染めと言う。
吹き染めは、染めたい色を必要な分量だけ、均質に作れる利点があり、又前号で書いた(型押し)や(プリント)などの他に、質として問題のある革を、この染色方法で、ごまかす事もできる。 厚くファンデーションを塗ると理解しても良い。
市販の9割以上の革製品は、この吹き染めで生産されており、「白」を含む原色や、パステルカラー等、鮮やかな色は、殆んど全てと言って良い。
しかし結局は、染料を革の表面にデシミクロン程、吹きつけられただけなので、同じ部分を何度も擦ると、塗料が剥がれて、グレーっぽい生地の色が出てしまう。
鞄・靴・ベルト等、買って暫くすると、色が退色したり変色したり、剥がれたりした経験を持つ方は、少なくない筈だ。
対して水染めは、何のような利点と欠点があるか?
又、両者の識別方法は何か?・・・等は、次号で。 (F)
──次号につづく─