□□昨日のつづき□□
2003年6月15日号 VOL.025
──良い革製品を考える(3)──
前号で述べたように皮は肉を取った後の副次生産物なので、皮の段階では生産地、飼育方法などによって優劣をつける事は基本的には無い。
皮は脱毛・脱脂・洗浄などの工程を経て、タンニンか硫酸クロムで鞣され(vol17参照)その後叩いたり揉んだり延ばしたりされて革に生れ変わる。 しかし工業製品と違い一頭ずつが全て個性的であるのは当然であり、皮フ病に侵されていたり、老化して皺の多いもの、傷痕・虫さされ痕・焼印痕のあるもの、また肌目はきれいに見えるが
皮フ繊維としては強靭さを失っているもの・・・・・・と様々だ。
(傷の多い皮は良い革) は正しい論理ではあるが、ほとんどのユーザーが傷やシワの無いものを好むと言う事もあって、問題点のある革に対して原皮生産メーカーや染色メーカーは種々の<化粧>を施して行く。
型 押 し──革に爬虫類模様や麦茎模様、幾何学模様などを型押しする。
プリント──革にチェックやストライプ・地図模様などを印刷する。
エナメル──革に樹脂エナメルを厚く吹きつけて肌目を見えなくする。
起 毛──革を毛羽立たせたり擦ったりして起毛させる。
いづれも原状をを隠す処理であり無地(スムース)で売れる良い革に施す事はあり得ない
100頭分の牛皮があった時、健康で肌目も美しいものは1割にも満たない。その1割の中で、ラッカー等を使ってツヤ出しせずにすむナチュラルな革は更に少ない。
──光沢の無い自然な無地革は良い革である。──
(F)
──次号につづく─