□□昨日のつづき□□
2002年10月5日号 VOL.002
高品質(良いモノ)を考える時、まず大ザッパに2種類に分類する必要が有る。
一つは高度な技術と莫大な資本を投下して生産される工業製品であり、もう一つは経験に裏打ちされ工夫と研鑽を重ねて手作りされた職人世界のモノだ。前者は自動車や電子機器などであり、後者は伝統工芸などに代表される。
はっきり言えるのは工業製品は量産するほどコストが低下し、品質が安定して行く。これに対して、職人を使って無理に量産を図れば品質が低下し(手が荒れるッて言う)、コストは上昇して行く(眠る時間を削るしか方法が無いからだ)。
この二者をしっかり区別しておかないと、前号で書いたように通販コピーに騙されたり、繰り返される雑誌の取材に見せかけた広告宣伝に洗脳されて、内職のオバちゃん達が作ったものを有難がって買うようなところに落ち込んで行く。
筆者の知る限り、学校での偏差値の高い人ほど雑誌などで得た情報を信じやすい傾向にあるのは何故なんだろう?
一つだけ例を出そう。 食通の誰もが認める和菓子屋さんがあった。
名人気質の職人夫婦が、①十勝産の小豆を厳選し、②四国の和三盆糖で、③アンコをていねいに濾しやさしく手で捏ねて、1日200個ほどの団子を作っていた。
ある日雑誌社が来て、この<こだわり>を紹介した。
雑誌発売の翌日、開店前から客が押し寄せ、30分も経たずに売り切れた。
毎日、人が並ぶので量産しようとしたが、①の小豆も②の砂糖も限られた量しか手に入らないので、輸入小豆を混ぜ、グラニュー糖や水飴を混ぜ、それでも人が並ぶのでパートを雇い機械でアンコを練りはじめた。
テレビ局の取材が来て、工場を建て、デパ地下に出店しましたとサ。
おしまい
(F)
──次号につづく─