☆☆☆ フリーハンド ☆☆☆
2009.09.11
おしゃれって何なのでしょう?
コラム 昨日のつづき Vol.64
先週国立代々木競技場で「東京ガールズコレクション」が開催されました。
結論から書きますと、コレクションと言うにはとても違和感のあるものでした。 パリやミラノやニューヨークとは全く異質の、ファッションショーと言うよりアウトレットモールのイベントに近い、低俗な雰囲気を醸し出していました。 会場の熱気は凄まじいものでしたが、装うことを芸術の域まで高めた前者に比べて下賤とまで感じてしまいました。
もちろん、パリもミラノも世界的で巨額なビジネスを伴っています。 しかし、あくまでビジネスは副次的なものとして認知されています。
それに対して、モデルが着て歩くそばから、携帯を使って少女たちにリアルタイムで買い物をさせているシステムを考え出した事だけ見ても、既に生産されている服や雑貨を”売るため”に企図された即売会なのでしょう。 そして私に嫌悪感まで感じさせたものは最も”売れた”ブランドが評価されている事でした。
それにしても、少女たちは何故同じ服を着たがるのでしょう。
何時の時代でも当然流行はあります。 ただ、服から靴・バッグ・アクセサリーの選び方まで同じ傾向で、歩き方話し方も一緒なのは返って不自然な気さえします。
他人と異なった服装をしたり、他人と違う意見を述べる事が「いじめ」の対象になると心の底から思いこんでいる世代だからでしょうか。 だとしたら悲しい事です。
難しい話をする気はありませんが、太古から人間は個性を追求して来ました。 他人と違う自分を認識する事が「自我」を目覚めさせ、他と比較することで喜怒哀楽など情緒を育んできたのだと思います。 他と違う”己”への欲望が想像力を高め、創造力を生み、結果として文明の発展を遂げたのだと思うのです。
今の若い世代は、余りにも膨大な情報に溺れきって、情報を分析して正しいものとそうで無いものとに分類する(思考する)時間が足りないのでしょう。
だから、資本の力でひたすら情報を発信し続ける一部のブランドに盲目的にひれ伏してしまうのでしょう。
当然、経済の原則としてそのような企業は大量生産を基本としていますから、中国を生産基地にしているのです。
繰り返しますが、全国に数百店も有る店で、同じ洋服を買い同じ靴を着て、それは「おしゃれ」ですか? おしゃれとは自分の個性を美しく表現する事ではないのですか?
背の高い人も低い人も、痩せてる人も太っている人も、顔立ちの華やかな人も清楚で静やかな面立ちの人も、同じ洋服同じ化粧で良いのですか?
今回のショーで高級化したことで知られる某百貨店まで、新ブランドを立ち上げて参加していたのもショックだった。 (F)
フリーハンドはこの秋冬、個性的な美しさのお手伝いをさせて頂けるよう、いろいろな提案をしてまいります。