□□昨日のつづき□□
2003年6月5日号 VOL.024
──良い革製品を考える(2)──
【良い原皮】とはひとことで言えば、健康な動物の健康な皮フ繊維の事である。私達人間も動物の一員だから、乳幼児から成人する迄の間に強い皮フを作り上げるとすれば健康であり続ける必要がある。 幼童の頃から元気に走り、木に登り、泳ぎ、遊び回って肘や膝を赤チンだらけにして子供時代を過ごした方が、塾や習い事に明け暮れスポーツに縁のないまま成人した人間より健康な肉体を有しているのは当然だ。
<革>は<皮>から作られるものだから、丈夫な強い皮を得るためには広い草原に放牧されて自由に動まわった牛や豚が最善だ。 しかし、ここに問題がある。牛や豚の飼育は肉や乳を得るためであり、脂質を多く含んだ高級肉を作るためには運動を控えさせて高カロリーな餌を与え続ける必要がある。 更に経済効率を考えればストレスを食欲に向けさせるブロイラー方式が最も良いと言う事になる。
狭い牧場で化学肥料と抗生物質を与えられ、バイオテクで細胞分裂を活性化された動物達は、短期間で肥り肉は柔かくなるが皮フの繊維密度は粗く弱く、ベルトを作れば延び易く、鞄や靴を作れば変形し易い。 細胞壁も粗いのでオイルを含ませても抱え込む事が出来ずに洩れてしまう。
─傷の多い革は良い革である─と言ったら余りにも簡単すぎる結論なので、では、粗悪な皮は何のように処理しているかを語る事で革の見分け方を探って行こう。
(F)
──次号につづく─